2023-01-10
不動産売却で利益が出た場合、譲渡所得税が課税されるため、売主は確定申告をおこなう必要があります。
この譲渡所得税を計算する際に不動産が建物であれば「減価償却費」を加味しなければなりません。
しかし、減価償却と聞くと複雑そうだと敬遠される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産売却における減価償却とは何か、計算方法や注意点についてご紹介します。
千葉県を中心に不動産売却をご検討中の方は、ぜひ今後のご参考にしてみてください。
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まずは、不動産売却における減価償却とは何か、見ていきましょう。
減価償却とは経年劣化により価値が下がる建物の会計処理のことで、これを金額として表したものを減価償却費といいます。
不動産売却で発生する税金の1つに売却益に対してかかる譲渡所得税がありますが、「減価償却費」は譲渡所得税を計算する際に必要な費目の1つだと覚えておいてください。
譲渡所得税は不動産売却で得た売却金に対してかかるわけではなく、売却金から不動産の購入や売却で支払った経費を差し引いた金額に対してかかります。
この経費には購入時にかかった費用である不動産の購入代金を含めることが可能ですが、売却時は購入時に比べて不動産の価値が下がっていると考えられます。
そのため、譲渡所得税を計算する際は、購入費用の全額を経費として計上できません。
つまり、売主は現在の不動産の価値を正しく反映したうえで確定申告をおこなう必要があるということです。
減価償却の対象は、不動産のなかでも建物部分のみということも大切なポイントです。
建物部分は、居住者の日々の使用で劣化していくと考えられるためです。
一方、土地は経年劣化の影響を受けないため、減価償却の対象外であることも覚えておきましょう。
ここまでを踏まえると、減価償却は譲渡所得税の確定申告の際に売主がおこないます。
税理士などに依頼することも可能ですが、その場合は費用がかかるため、注意しましょう。
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続いて、不動産売却における減価償却費の実際の計算方法についてご紹介します。
減価償却費の計算方法には「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、不動産の減価償却では「定額法」を使用します。
定額法とは、毎年同じ金額を減価償却していく計算方法です。
マンションや一戸建てなどの居住用の非事業用不動産の場合は、所有期間を年単位で計算します。
所有期間を計算する際は6か月以上であれば1年とみなし、6か月未満の場合は切り捨てると定められています。
減価償却費を算出する際の計算式は、次のとおりです。
減価償却費=建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数
なお、上記の0.9という数値は残存価額(法定耐用年数(建物の価値がなくなるまでの年数)を過ぎても建物に残る価値)を表しています。
それでは、計算の手順について見ていきましょう。
手順①建物の購入代金を調べる
先述したように減価償却の対象は建物部分のみのため、不動産の購入代金(土地と建物の合計金額)から建物の購入代金を調べる必要があります。
建物の購入代金は、購入時の売買契約書を見れば確認することが可能です。
売買契約書に土地と建物の合計金額しか記載されていない場合は、消費税の金額から次の計算式で算出できます。
建物の購入代金=売買契約書に記載された消費税÷消費税率+消費税
なお、消費税率は購入した年によって3%から10%までと数値が異なります。
個人間売買などで売買契約書に消費税の記載がない場合は、標準建築単価から計算することも可能です。
標準建築単価とは、国土交通省が公示する床面積1平米あたりの工事費の平均値のことです。
この標準建築単価に専有面積を掛けることによって建物の代金を算出できます。
また、消費税が不明な場合の建物の購入代金は固定資産税評価額からも調べることが可能です。
手順②購入代金以外の取得費の建物分を計算する
購入代金以外の仲介手数料や登記費用、住宅ローンの事務手数料なども取得費として計上できますが、同様に建物分を算出する必要があります。
たとえば仲介手数料が100万円で土地が400万円、建物が600万円の場合は、4:6(土地:建物)の割合で建物の取得費が60万円と算出できます。
手順③償却率を調べる
償却率は建物の構造などによって異なり、法定耐用年数が長いほど小さくなります。
構造ごとの償却率は、次のとおりです。
建物の寿命は建物の材料や使い方によって異なるため、構造や用途などによって法定耐用年数の基準が定められていることを覚えておきましょう。
手順④経過年数を計算する
不動産を購入してから売却するまでの所有期間を計算します。
先述したように非事業用不動産は年単位で考えるため、6か月以上は1年、6か月以下は切り捨てのルールに従います。
手順⑤計算式に当てはめて減価償却費を計算する
手順①から④までで調べた数値を計算式に代入し、減価償却費を求めます。
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最後に、不動産売却における減価償却の注意点についてご紹介します。
注意点①建物部分はなるべく実額で計算する
譲渡所得税において取得費を計上する際、年月の経過による売買契約書の紛失などで取得費が不明な場合を想定して概算取得費を計上することが認められています。
このようなケースでは、売却益の5%を概算として取得費に計上することが可能です。
しかし、概算取得費では実額に比べて計上できる取得費が少なくなり、損をしてしまう可能性が高いため、注意が必要です。
売買価格のうち建物の取得費が不明な場合は、先述した消費税や標準建築単価を参考に実額を計上するようにしましょう。
注意点②譲渡損失(売却損)が出た場合は税金が軽減される
不動産売却で売却損が出た場合は、損益通算を利用することによって所得税や住民税などの税金が軽減されることも覚えておきたい注意点です。
不動産を売却した年の所得から売却損を控除しきれなかった場合は、繰越控除といってさらに3年間まで損失を繰り越すことが可能です。
ただし、損益通算を利用するためには、確定申告をおこなう必要があります。
本来であれば確定申告は売却益が出た際におこないますが、損益通算を活用すれば節税につながるため、売却損の場合も確定申告を検討することをおすすめします。
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今回は、不動産売却における減価償却とは何か、計算方法や注意点についてご紹介しました。
減価償却は難しいと思われがちな会計処理ですが、1つずつ手順を踏めば個人でおこなうことが可能です。
少しでも高値で売却し、確定申告までスムーズにおこなって不動産売却を成功させましょう。
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